東山邸



重量感ある「甍」がつくる景観は、日本美の象徴として親しまれてきました。しかし、現代では、瓦の軽量化と同時に軽快な「甍」の景観が求められています。
東山邸は「140角の柱で主要な空間を囲むこと、それを数寄の趣で」、という両立しずらい設計条件がありました。
即ち、骨太の数奇屋が求められたということです。それは、数寄の空間を伝統の繊細さに頼るのではなく、意図的な演出空間ととらえることで、可能性を見出していきました。

設計条件を満たす手がかりを「透き」と「軽さ」に求めました。
本瓦葺きの工法にヒントを求め、瓦を設計することからはじめました。「平瓦の両端を立ち上げ平板に近づける」「重ね代を近づけ素丸瓦の径を小さくする」など、軽量化を図りながら、スケール感のうえで無理の無い意匠になるよう配慮。伝統的な瓦屋根に<新しい表現と可能性>を求めました。


〈 受賞歴 〉
1999年 グッドデザインひょうご大賞 「聖瓦」
1999年 第10回甍賞瓦屋根設計コンクール 金賞 建設大臣賞


〈 掲載歴 〉
1998年 ディテール 秋・題138号


所在地:高知県高知市
竣工年:1998年
主要用途:住宅
構造規模:木造2階
延床面積:310.94㎡